研究概要
生きた細胞の物理化学量を観察・計測・操作する量子センサの開発と応用に関する研究を行っています。
1)ナノ粒子の開発
ナノ粒子は,サイズが数 nm〜数十 nm の領域に小さくなることで,バルクとは異なる特異な物性(光学応答,表面反応性,量子効果など)を示します.さらに,表面の化学修飾により,分散安定性や生体適合性,標的化機能などを付与でき,目的に応じて機能を大きく拡張できます.当研究室では,様々なナノ粒子(ダイヤモンド・炭化ケイ素・窒化ホウ素・金ナノ粒子・金ナノロッド・磁性粒子・金属量子ドット・カーボン量子ドット・シリカなど)の設計・合成から,評価,応用展開までを一貫して行い,細胞内計測や新しいセンシング技術へとつなげています.

2)蛍光イメージング
蛍光イメージングは,細胞内で起きている現象を光として可視化し,通常は見えない分子や構造の分布・動態を観察する技術です.蛍光色素や蛍光ナノ粒子を用いることで,特定の分子を選択的に「見える化」でき,生細胞のままリアルタイムで変化を追跡できます.当研究室では,光安定性や環境耐性に優れた蛍光ナノ材料の設計を通じて,細胞内の狙った分子を高感度に捉えるイメージング手法の開発を進めています.

3)量子センシング
温度や磁場,電場,化学環境といった物理化学量は,生命現象や材料機能を理解するうえで重要な役割を果たします.量子センシングでは,量子状態が外部環境に敏感に応答する性質を利用して,これらの物理化学量を高感度に計測します.当研究室では,ダイヤモンドナノ粒子内部に存在するスピン欠陥を量子センサとして用い,生細胞内などの微小空間における物理化学量を非侵襲的に計測する手法の開発に取り組んでいます.

4)ナノザイム
ナノザイムは,ナノ粒子が示す酵素様活性を利用した人工触媒材料です.天然酵素に比べて高い安定性や耐久性を有し,反応条件の制御や機能設計が容易であるという特長があります.当研究室では,ナノ材料の表面構造や化学修飾を精密に制御することで,反応選択性や活性を調整し,細胞内反応の制御やセンシングと結びついた新しいナノザイム機能の創出を目指しています.
